梅田望夫さんは分かりやすいキーワードを使ってネット時代を分析する。「高速道路化」と「その先の大渋滞」もその一つ。(コンセプトの詳細はこちら)
さて、この「高速道路化」、音楽の世界ではどのように現れているのだろう?
一つには、iTunesやP2Pソフトなどを通じて、ネット以前に比べて圧倒的に多くの量の音楽を今のユーザは聞いている。若者や学生であれば、ヒットチャートの上位にある曲はP2Pで探したり友達からもらったりして常に一通り「とりあえず持っている」状態だろう。
また、ちょっと気になった曲や今まで知らなかったけどたまたま見つけたジャンルのトラックなども今の時代なら簡単に入手できる。もともとはロック好きだったのが、友達の影響でレゲエが好きになり、夢中でレゲエのトラックを収集し始めてみたら数日後には主要な「定番」アーティストの曲はすべて持っている状態、なんていうケースも良くありそうだ。
こうして広く浅く色々な音楽に触れることで、一般ユーザの音楽センスは上がってきていると思う。音楽はより身近なものになり、「作る側」にも簡単に行けるようになった。音楽ツールやソフトを使えば、楽譜が読めなくても、音楽理論を知らなくても、ちょっとした曲なら簡単に作れる。それをMySpaceで公開すれば何十人かくらいはファンが付くかもしれない。
そして当然、「その先の大渋滞」もある。誰にでも使えるツールで作られた音楽は、誰にでも作れる個性のない音楽になりがちで、そこから一歩抜け出るには、誰も予想しないような方法でツールを使うなどして突然変異させた音楽を作るか、地道に音楽の知識や理論を学んでさらにその先を極めるかしかない。
一段視点を変えると、「音楽の知識や理論の習得が大変だ」というのは昔からの問題である。ここを高速道路化する方法はあるだろうか?知識や理論を自習する過程をインタラクティブに自動化して効率化する、というのはあり得るのだが、そういった学習ソフトはPCが普及し始めた時代からたくさんある。しかしそれを使ってプロになった素晴らしいミュージシャンとかは聞いたことがない。本当に使いやすいツールがまだ出てきていないようでもあり、何か基本的な視点が違うような気もする。
一つ、よく見落とされがちなことは、音楽の知識や理論は単なる学習で身につけるものではなく、実践を通じてこそ習得できるものである、ということ。その意味からすれば、インターネットを最大限活用して実践の機会を増やす、という方向のほうが高速道路化に資するような気がする。この辺で、何かできないだろうか。